高松市 新田町 春日町 高松町 屋島 潟元
高松市 新田町 春日町 高松町 屋島 潟元
内科 (内分泌・甲状腺・糖尿病)
〒761-0102
香川県高松市新田町甲2607-4
電話:087-816-3101
ファックス:087-818-0587
妊娠と甲状腺
皆さん甲状腺という臓器を知っていますでしょうか。一般的にはあまり耳慣れない臓器かもしれませんが、ホルモンを分泌することで身体の代謝を調節する役割を担っています。甲状腺は蝶のような形をしており、首の正面、やや下側に位置し、正常の甲状腺は重量がわずか20~30g程度で専門家の触診でもはっきりしないくらいの小さな臓器です。この小さな甲状腺が腫れてくる場合があり、その多くは慢性甲状腺炎、別名橋本病です。
橋本病は橋本策先生によって1900年初頭に初めて報告され、世界中で橋本病の名で通じる疾患です。橋本病は男性の10倍女性に多い疾患であり、報告によっては日本人女性の20人に1人が罹患しているともされ、実は非常に多い病気です。
橋本病は自己免疫の異常により白血球の1種であるリンパ球が甲状腺に浸潤することで炎症が生じて甲状腺全体が腫れてくる自己免疫疾患です。その他の自己免疫疾患、例えば1型糖尿病や膠原病にかかっている人は橋本病が隠れている、あるいは今後発症する確率が高いとされています。
初期は甲状腺の腫れ以外には目立った症状がみられませんが、病気が進行してくると甲状腺ホルモンの低下により代謝が落ちてくることで冷え性、便秘、浮腫み、倦怠感といった症状がみられるようになります。高齢者の方で橋本病が進行してくると認知機能の低下がみられ、認知症と間違われることもあり注意が必要です。
治療はチラーヂン🄬というホルモン剤を内服してもらうことです。軽症の橋本病はホルモン補充療法の対象とならないことが多いですが、妊娠を考えている場合には対応が変わってきます。体調に変化を与えない程度のごくわずかな甲状腺ホルモンの低下が妊娠を困難にすることが分かっているからです。このため、最近では婦人科でも不妊の原因検査として甲状腺ホルモンの測定が行われるようになってきているのですが、不妊の全例で調べるまでには至っていないのが現状です。
もし、この記事を読まれている方、あるいは周りの方で不妊にお困りであり、甲状腺ホルモンを測定したことがないという方や甲状腺機能低下を疑う症状でお困りの方がいらっしゃいましたら一度当院にご相談ください。